対中強硬、にじむ議会配慮 民主主義の優位誇示―米大統領・一般教書演説
2023年02月08日20時31分
【ワシントン時事】バイデン米大統領は7日の一般教書演説で、中国への対抗意識をあらわにした。米本土上空を飛行した中国の偵察気球撃墜を巡って米中関係に緊張が走る中、対中強硬姿勢を強める議会への配慮をにじませた。
「先週明確にしたように、中国がわが国の主権を脅かせば、われわれは国を守るために行動する」。バイデン氏は演説で4日の偵察気球撃墜に間接的に言及し、中国に警告を発した。
昨年の中間選挙で野党共和党が下院多数派を奪還し、議会では対中強硬派が一段と勢力を拡大した。バイデン政権の気球撃墜にも「遅かった」との批判が渦巻いており、タカ派姿勢を打ち出すことに腐心したもようだ。
バイデン氏は専制主義に対する民主主義の優位も強調。その上で演説草稿を逸脱する形で「習近平(中国国家主席)と立場を替わりたい世界の指導者はいるか? 一人でも挙げてみろ」とアドリブで訴え、習氏に対する優位性を誇示してみせた。
「習氏には対立ではなく競争を望むと明確にした」とも語り、対中批判自体は抑制気味だった。それでも、米シンクタンク「大西洋評議会」上級フェローのデクスター・ロバーツ氏は「中国の台頭に反対するという点で、ワシントンで珍しく超党派の問題意識が定着した」と分析した。
演説では昨年同様、ロシアのウクライナ侵攻にも触れた。「必要な限りウクライナを支え続ける」と改めて表明したものの、共和党内に支援縮小を求める声があることも踏まえ、追加支援などは打ち出さなかった。