比の詐欺拠点、頻繁に移転 摘発警戒か、別事件から特定―全国連続強盗・警視庁
2023年02月08日14時25分
全国で相次ぐ強盗事件の指示役が関与した可能性がある特殊詐欺のグループが、フィリピン国内の活動拠点を頻繁に移転させていたことが8日、捜査関係者への取材で分かった。警視庁捜査2課は、グループが摘発を警戒し、拠点を固定しないようにしていたとみて調べる。
指示系統、金の流れ解明焦点 連続強盗と類似点多く―比拠点の特殊詐欺グループ・警視庁
同課は証拠品としてフィリピン当局が押収したグループ幹部らの携帯電話とタブレット計約15台を解析。指示系統の解明などを急ぐ。
捜査関係者によると、グループは「闇バイト」で集めた日本人メンバーにフィリピンからうその電話をかけさせるなどし、少なくとも約2300人から60億円以上を詐取した疑いがある。
電話をかける拠点は「かけ場」と呼ばれ、ホテルやマンションの一室などに複数、置かれていたが、場所を転々と変えていたという。
警視庁は「かけ場」を特定するため、数カ月間にわたり、メンバーらの動きを追跡。他県警が同国から帰国した元メンバーを逮捕した事件をきっかけに、グループの大規模な「かけ場」だったマニラ首都圏の廃ホテルを突き止めた。フィリピン当局に情報を提供し、2019年11月、メンバー36人の一斉摘発につなげた。
グループのリーダー格とみられる渡辺優樹容疑者(38)ら4人は当時、廃ホテルにいなかったために摘発を逃れたが、いずれも21年までに同国で拘束された。
警視庁は今月7日、身柄の移送を受け、19年に都内で起きた特殊詐欺事件に絡み、グループ幹部の今村磨人(38)、藤田聖也(38)両容疑者を窃盗容疑で逮捕した。
警視庁は4人の中に全国で相次ぐ強盗事件の指示役「ルフィ」や「キム」が含まれているとみており、関与についても調べる。