内戦下の荒廃、支援難しく シリアでも甚大な被害―トルコ地震
2023年02月07日07時03分
トルコ南部を震源とする大地震では、内戦下のシリアでも甚大な被害が出た。在英のシリア人権監視団によると、アサド政権支配地域や反体制派最後の拠点のイドリブ県などを合わせた死者は800人を超えたとみられる。勃発から10年を超え荒廃したシリアには、今回の震災は復興への新たな足かせとなりそうだ。
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国営通信によると、アサド大統領は6日午前、閣僚を集め緊急会議を招集。北部アレッポ県や北西部ラタキア県、西部ハマ県で被害が大きいとして、緊急行動計画の策定に着手した。アサド氏はまた、関係閣僚は現地に向かい、被害の全容把握や被災者支援に全力を挙げるよう指示。大統領府によると、政権後ろ盾のプーチン・ロシア大統領から電話で支援提供を伝えられたという。
トルコと隣接するイドリブ県でも被害は深刻で、AFP通信は「(内戦下での)砲撃や銃弾よりもつらかった」と嘆く同県在住の被災者の声を伝えた。交流サイトには、建物の崩壊現場で重機を使った救助作業や、医療施設に搬送された男性や子供らの写真や映像が次々と投稿された。イドリブ県で救助活動を行う「シリア民間防衛隊(ホワイトヘルメッツ)」はツイッターで、「冬の寒さの中、多数ががれきの下に閉じ込められたままだ」と惨状を訴え、国際社会の支援を呼び掛けた。
ただ、反体制派への国際的な支援を、対立するアサド政権側がすんなりと認める公算は小さい。被害が大きいトルコを経由した支援も不透明で、人道危機が深刻化しかねない。