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自民、「自助」の理念なし崩し 統一選・補選控え、あっさり転換―児童手当

2023年02月04日07時25分

1月25日、衆院本会議で代表質問に臨む自民党の茂木敏充幹事長

1月25日、衆院本会議で代表質問に臨む自民党の茂木敏充幹事長

 首相が目指す児童手当の拡充を巡り、所得制限の撤廃を求める声が、自民党内で急速に広がっている。これまでの「自助」重視の姿勢をあっさり転換。4月の統一地方選や衆院補欠選挙を控え、同党の子ども・子育て政策の理念は「なし崩し」気味だ。

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 社会保障制度は、自分で備える「自助」、社会で支え合う「共助」、国や自治体で行う「公助」からなる。この中で、自民党が特に重視してきたのが「自助」だ。野党時代の2010年にまとめた党綱領には「自助自立する個人を尊重し、共助・公助する仕組みを充実する」と明記した。
 こうした理念に基づき、旧民主党政権が導入した所得制限のない「子ども手当」を、当時の谷垣禎一総裁が「公助ありきのバラマキ」と厳しく批判。安倍晋三元首相に至っては、共産主義国家を率いたポル・ポトやスターリンになぞらえ、「子育ての国家化・社会化」と断じた。
 ところが、ここに来て自民党の姿勢が揺らいでいる。幹事長は先の衆院代表質問で「児童手当の所得制限を撤廃すべきだ」と提案。これに対し、首相も国会答弁で「子育て政策のニーズ自体も大きく変化している」などと一定の理解を示すが、唐突さは否めない。
 背景には、内閣支持率が低迷する中で統一選や補選に臨むことへの危機感がありそうだ。野党各党だけでなく、公明党も所得制限の撤廃を主張。自民党関係者は「各党と足並みをそろえなければ選挙で争点化してしまう」と警戒する。
 ただ、無原則な政策転換は、制度に混乱を生じさせる。菅政権は、年収1200万円以上の世帯に支給していた子1人当たり月5000円の「特例給付」の廃止を決定。昨年10月から実施された。
 所得制限で浮いた財源を待機児童解消に充てる狙いからだが、所得制限の撤廃はこうした政策に逆行する。自民党の閣僚経験者は「特例給付の廃止からまだ半年もたっていない。そんな朝令暮改が許されるのか」と疑問を呈した。

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