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偵察気球、米中の新たな火種に 核ミサイル基地の情報収集か

2023年02月03日21時42分

米国防総省=ワシントン

米国防総省=ワシントン

 【ワシントン時事】米国防総省は2日、中国の偵察気球が米本土上空を飛行しており、これを監視・追跡していると発表した。ブリンケン米国務長官が5日から訪中する見通しの中、両国の新たな火種となる可能性がある。

米本土に中国の「偵察気球」 国防総省が監視・追跡

 米政府高官によると、偵察気球は数日前に米領空に入り、2日時点で西部モンタナ州の上空に到達。同州のマルムストローム空軍基地には、米国内に3カ所ある核弾頭を搭載可能な大陸間弾道ミサイル「ミニットマン3」の発射施設の一つがあり、「機密情報の収集が目的であることは明白だ」(高官)という。
 米軍は追跡のために最新鋭ステルス戦闘機F22を出動させたほか、近くにある国際空港の発着を一時停止させた。ただ、地上に破片が落下する危険があるとして、偵察気球の撃墜を見送っている。
 偵察気球の追跡を公表した2日には、米国とフィリピンの両政府が米軍によるフィリピン国内の基地使用拡大で合意した。東・南シナ海で軍事的圧力を強める中国をけん制するのが狙いで、使用可能な基地は新たに4カ所増え、9カ所となる。米国は1月11日にも日本の沖縄県に駐留する海兵隊の改編を決めたばかりで、台湾有事に警戒を強めている。
 米中関係は昨年8月のペロシ米下院議長(当時)の台湾訪問をきっかけに一層悪化。同年11月の米中首脳会談で歩み寄りの機運が強まり、5日からとみられるブリンケン氏の訪中でも習近平国家主席との会談が見込まれている。しかし、今回の偵察気球や米フィリピンの合意などを背景に、米中の緊張緩和の難しさが改めて浮き彫りになった格好だ。
 中国外務省の毛寧副報道局長は3日の記者会見で、偵察気球に関して、「状況を確認中だ。事実が明らかになる前の臆測は、問題解決の役には立たない」「米国と共に問題に冷静に対処していきたい」と強調。ブリンケン氏の訪中への影響について問われると、「現時点で発表することはない」と述べるにとどめた。

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