安保・原発・少子化の「転換」焦点 与野党攻防激化へ―通常国会23日召集
2023年01月22日20時31分
第211通常国会が23日召集される。岸田文雄首相は過去最大となる114兆円規模の2023年度当初予算案や、提出予定の法案60本の成立を急ぎ、求心力が低下した政権の再浮揚を狙う。首相が昨年の臨時国会閉幕後に相次ぎ打ち出した安全保障、原発、少子化対策の「政策転換」が初めて国会で議論される。与野党攻防が激しくなりそうだ。会期は6月21日までの150日間。
政府は昨年末、戦後の平和憲法下で政策として採用してこなかった「反撃能力(敵基地攻撃能力)」保有を決定。今月13日の日米首脳会談で、安保政策転換の意義をバイデン大統領と確認した。国会での説明を後回しにしたことを、野党は「国民をないがしろにする姿勢だ」(立憲民主党の安住淳国対委員長)と批判する。
防衛費増額の財源を巡っても、首相が打ち出した増税方針に対し、立民と日本維新の会など野党6党が「安易な増税に反対」で共闘。財源確保のため「防衛力強化資金」を設ける政府の特別措置法案で対決姿勢を強める。
原発政策も立民や共産が徹底審議を求める。政府は原発再稼働や新規建設を進める方針で、60年超の運転を可能にする電気事業法改正案を提出する。東日本大震災以降の「脱原発」路線を転換する是非が問われる。
岸田政権が「異次元」の取り組みをうたう少子化対策も焦点だ。首相が表明した児童手当拡充を巡っては、数兆円規模とされる財源をどう確保するか見通しが立っていない。衆院に新設される「地域・こども・デジタル特別委員会」などで野党が追及を強める構えだ。
外国人の収容ルールを見直す入管難民法改正案、日本学術会議の会員選考への第三者の関与を可能にする日本学術会議法改正案も対決法案となる見通し。政府は、感染症危機への対応で首相権限を強化する新型コロナウイルス特別措置法改正案も提出する。
野党は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係について細田博之衆院議長に説明を求めるなど引き続き教団と自民党とのつながりをただす方針。閣僚辞任ドミノにつながった「政治とカネ」などの問題が再び取り上げられる可能性もある。