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国債市場の「ゆがみ」は解消? 日銀、政策効果見極め―ニュースQ&A

2023年01月18日19時00分

【図解】国債市場の「ゆがみ」

【図解】国債市場の「ゆがみ」

  • 日銀本店

 日銀は18日、大規模金融緩和策の現状維持を決めた。国債市場の機能改善を狙い、容認する長期金利の上限を0.5%に引き上げた昨年12月の政策修正の効果を見極めるためだ。今後、日銀の思惑通りに国債市場の「ゆがみ」が解消に向かうかが注目される。
 ―市場の「ゆがみ」とは。
 国債の利回りは通常、償還までの残存年限が長いほど高くなる関係にある。このため、利回りを年限ごとに結んで描かれる「利回り曲線(イールドカーブ)」は、右肩上がりになるのが一般的だ。しかし昨年秋以降は、長期金利の指標となる10年物国債の利回りが不自然に低くなる状態が目立つようになった。
 ―具体的には。
 10年債金利よりも、残存期間7~9年の利回りが高くなるケースが多くなっている。新発10年債の利回りと、残存期間10年となった20年債の利回りにも差が生じている。
 ―なぜそういうことが起きるのか。
 日銀は現在、短期金利をマイナス0.1%に、長期金利を0%程度に誘導する「長短金利操作」を実施し、利回り曲線全体を低く抑える金融緩和策を行っている。
 しかし、昨年になって、欧米の相次ぐ利上げで日本の債券市場でも金利上昇圧力が強まった。その中で、日銀が長期金利を低く抑え込んでいるため、10年債金利が短い期間の金利より低くなる「ゆがみ」が生じてしまった。
 ―問題があるのか。
 国債金利はあらゆる金利の基準となっている。「ゆがみ」が残ったままでは、企業が発行する社債や銀行融資の適正金利が分からなくなるなど、企業の資金調達にも悪影響が及ぶことが懸念されている。
 ―日銀の政策修正で「ゆがみ」は解消したのか。
 解消を狙って日銀は昨年12月、長期金利の上限を0.25%から0.5%に引き上げた。だが、その後も10年債金利より、残存7~9年の金利が上回る事態は続いた。黒田東彦総裁は政策修正を見送った今回の金融政策決定会合後、「『ゆがみ』の是正がはっきりとする事態にはなっていない」と、まだ効果が十分に表れていないことを認めた。
 市場では引き続き追加の政策修正観測がくすぶり、金利上昇圧力が強い中で、日銀の期待通りに解消されていくのかは不透明だ。

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