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日銀政策修正、暮らしに影響 住宅ローン金利は一部引き上げ―ニュースQ&A

2023年01月11日17時51分

金融政策決定会合後に記者会見する日銀の黒田東彦総裁=2022年12月20日、日銀本店

金融政策決定会合後に記者会見する日銀の黒田東彦総裁=2022年12月20日、日銀本店

 日銀は昨年12月の金融政策決定会合で、大規模金融緩和策の一部修正を決めた。0%程度に誘導している長期金利の変動容認の上限を0.25%程度から0.5%程度に拡大した。これを受け、足元の長期金利は上限の0.5%まで上昇。大手銀行は住宅ローン金利を一部引き上げるなど、暮らしにも影響が出ている。金融市場では、日銀が追加で政策修正するとの観測もくすぶる。

日銀、突然の“利上げ” その背景と家計への影響は【解説委員室から】

 ―日銀の大規模金融緩和とは。
 日銀の大規模金融緩和は、大量の国債買い入れにより金利の低い状態を維持し、経済を活性化させ、2%の物価上昇目標の達成を狙ったものだ。2016年からは短期金利をマイナス0.1%に、長期金利を0%程度に抑える「長短金利操作」と呼ばれる枠組みで緩和を継続してきた。
 ―昨年12月に修正したのはなぜ。
 昨年春以降、米欧の中央銀行が利上げを加速し、金利上昇圧力が日本市場にも波及。日銀が抑え込んでいる10年物国債の金利がそれよりも短い期間の金利より低くなる「ゆがみ」が生じ、国債の取引が停滞する事態が起きていた。企業が資金調達のために発行する社債も国債金利を基に発行条件を決めるため、市場のゆがみを放置すれば社債が発行しづらくなることが懸念されていた。
 ―修正でどうなったのか。
 1月に発行された新発10年物国債の表面利率は0.5%と約8年ぶりの高水準になり、債券市場でも長期金利が0.5%と日銀が容認する上限で推移している。ただ、国債金利のゆがみは完全には解消されていない。
 ―暮らしへの影響は。
 大手銀行は長期金利に連動する固定型の住宅ローン金利を1月分から一斉に引き上げた。新たにローンを組む人が固定型を選んだ場合、一般的には以前から組んでいる人よりも、利払い負担は増える。一方、変動型の住宅ローンの金利は短期金利に連動しており、今回の修正でも変更はなかった。外国為替市場では、日米の金利差が縮小するとの見方から過度な円安が解消に向かい、輸入物価上昇を背景とした物価高の圧力は和らぐ可能性がある。
 ―これからも金利は上昇するのか。
 日銀の黒田東彦総裁は昨年12月の決定について、金融緩和の持続性を高めるもので「利上げではない」と述べたが、市場関係者の間では「事実上の利上げ」との受け止めが多い。金利上昇圧力が続けば、さらなる政策修正の可能性も指摘されている。

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