40年前の少女失踪で捜査開始 拉致か陰謀か、臆測呼ぶ―バチカン
2023年01月11日05時37分
【バチカン市AFP時事】バチカン(ローマ教皇庁)は10日、バチカン職員の娘で15歳だった40年前から行方不明となっている女性に関し、家族の要請などに基づき捜査を開始したと明らかにした。女性の失踪はバチカンが絡む最も有名な未解決事件とされ、拉致の可能性やバチカンによる陰謀説など数々の臆測を呼んできた。
女性はエマヌエラ・オルランディさん。1983年6月、ローマ市内で音楽のレッスンを受けたのを最後に消息が途絶えた。
オルランディさんを巡っては、イタリアのメディアなどでバチカンとの金銭問題を抱えた暴漢に拉致されたという説や、元教皇の故ヨハネ・パウロ2世の狙撃犯釈放のために誘拐されたとする見方などが取り沙汰されてきた。2019年には、匿名の情報を受けてバチカン市国内の二つの墓が掘り起こされたが、問題の女性とみられる骨は見つからなかった。
22年に失踪を取り上げた米動画配信大手ネットフリックスの番組では、オルランディさんが事件直前、バチカン敷地内で元教皇に近い人物から嫌がらせを受けたと明かしたとする友人の証言も放映された。真相究明を求めてきたオルランディさんの家族の弁護士は、AFP通信に「バチカンは今まで何もしてこなかった」と指摘。「バチカン上層部に話を聞いてほしいと長年お願いしてきたが、残念ながら既に他界した人もいる」と語った。