「G7で食料システム議題に」 飢餓拡大に懸念―IFAD総裁インタビュー
2023年01月11日07時05分
【ワシントン時事】アフリカなどで農村支援や飢餓改善に取り組む国際農業開発基金(IFAD、本部ローマ)のアルバロ・ラリオ総裁は10日までに時事通信のインタビューに応じ、5月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)で「持続可能な食料システムへの投資や気候変動への適応」も主要議題に含めるよう議長国の日本と協議していると明らかにした。
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ラリオ氏は、世界の飢餓人口が8億2800万人以上と報告されている状況について、「2023年はさらに悪化する。多くの国が債務に苦しめられ、最近のドル高が追い打ちを掛けている」と指摘。ロシアのウクライナ侵攻による肥料価格高騰が、インドネシアなどの農村に悪影響を与えているとも説明した。
ラリオ氏は一つの解決策として、農村開発やインフラ整備などへの「中期的な投資を直ちに実行する」よう主張。その中でも「農業における気候変動対応に必要な資金の確保」の重要性を訴えた。同氏によると、東アフリカ沖の島国マダガスカルの南部では2年半、ソマリアでは5年間も雨が降らない状態が続いた例があるという。
ラリオ氏は昨年11月に訪日した。藻の一種のミドリムシを活用した食品で有名なバイオベンチャー企業「ユーグレナ」(東京都)がバングラデシュのグラミンクリシ財団と同国で緑豆事業に着手。これにIFADが支援する小規模農家が関わっていることを例に挙げて、日本政府と「技術移転や食料のバリューチェーンの強靱(きょうじん)化、民間セクターとのさらなる連携などを協議している」と述べ、支援の拡大に期待感を示した。