双葉町で12年ぶり「だるま市」 原発事故後初、新春祝う―福島
2023年01月07日17時36分
福島県双葉町で7日、伝統のだるま市が開かれた。町内での開催は東京電力福島第1原発事故後初で、12年ぶり。JR常磐線双葉駅前に出店が並び、特産品「双葉ダルマ」の販売やだるまに綱を付けて引っ張り合う「巨大ダルマ引き」などで新春を祝った。8日まで。
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町によると、だるま市は江戸時代から約300年続く。2011年3月の原発事故で全町避難を余儀なくされても、有志らによっていわき市の復興住宅などで毎年実施されてきた。
22年8月末に駅周辺の「特定復興再生拠点区域」内の避難指示が解除され、住民の帰還が始まった。これに伴い、町内での再開が決まり、商工会や町による実行委員会も再び結成された。
双葉ダルマは、金色で町章をあしらった「町章ダルマ」と、顔周りを青く縁取り、桜とキジの羽のモチーフを描いた「太平洋ダルマ」の2種類がある。地元の農業協同組合に所属する女性が一つ一つ丁寧に絵付けしたものが店先に並ぶ。
双葉町から避難し、現在は同県広野町に住む根本加奈絵さん(34)は「原発事故後に生まれた娘に、自分が育った双葉を見せたかった」と、7歳の娘と会場を訪れた。「昔のようなにぎわいを見られてうれしい。町に来るいいきっかけになった」とだるま市の開催を喜んだ。
午後には双葉町役場で、「はたちを祝う会」も実施され、男女12人が参加。東京都内の大学に通う吉田華さん(20)は「本当に久しぶりに同級生と会い、小さいときに参加した祭りの雰囲気も味わえて懐かしい気持ちでいっぱいだ」と笑顔を見せた。