大エジプト博物館、いつオープン? 日本も支援、観光復活に期待
2023年01月04日13時34分
【カイロ時事】エジプトの首都カイロ近郊のギザに計画されている大エジプト博物館(GEM)の開館が、新型コロナウイルスなどの影響で延期された状態にある。世界最大規模の博物館は、国の威信を懸けた大プロジェクト。既に9割以上が完成しており、コロナ禍で打撃を受けた観光産業復活への起爆剤として、GEMへの期待は大きい。
ギザの三大ピラミッドから直線距離で約2キロ。約47万平方メートルの広大な敷地にGEMは建つ。収蔵品は約10万点。「黄金のマスク」で知られるツタンカーメンの全遺物と、日本が発掘し、復元を進める「第2の太陽の船」の展示が目玉だ。
日本は国際協力機構(JICA)を通じ、建設費として約840億円の円借款を供与。得意とする保存修復の技術を伝授して、専門家育成にも力を入れてきた。
こうした経緯もあり、商社マンとして中東駐在経験のある鈴木彰氏(66)が第1館長補に就き、運営全体をサポートする。「ツタンカーメンのマスクさえあれば人は来る」という従来の発想を転換。「来館者第一」の考えを浸透させ、準備を進めてきた。
建設は2012年に始まったが、コロナ禍に伴い、目標としていた20年の開館を延期。22年末に商業エリアの一部で、対象者を限定した試験的利用が開始されたが、博物館自体の開館予定は決まっていない。
ロシアによるウクライナ侵攻の余波でエジプト経済が低迷したことも、計画の遅れに影響したとの見方がある。経済再生には観光振興が必須。政府は過去最高の2倍以上に当たる年間3000万人の外国人客誘致を目指しており、「エジプトの新たな魅力」となるGEM開館が目標達成のカギを握りそうだ。