前ローマ教皇ベネディクト16世死去 95歳、世俗化戒め
2022年12月31日21時05分
【パリ時事】伝統的なカトリックの価値観を重視し、欧米で広がる世俗化を戒めた前ローマ教皇(第265代)のベネディクト16世が12月31日午前9時34分(日本時間午後5時34分)、バチカン市国で死去した。バチカン(ローマ教皇庁)が発表した。95歳だった。2005年から13年までの在位中、バチカン内部の権力闘争や聖職者による児童の性的虐待が次々と表面化し、カトリック教会の求心力が低下。教皇としては約600年ぶりに自分の意思で存命中に退位した。
バチカンによると、葬儀は1月5日午前9時半(日本時間午後5時半)、バチカンのサンピエトロ広場でフランシスコ教皇により執り行われる。
本名はヨゼフ・ラツィンガー。1927年、ドイツ南東部バイエルン州マルクトル生まれ。ミュンヘン大司教だった77年、枢機卿に就任。教皇ヨハネ・パウロ2世の死去に伴い、05年4月に78歳で教皇に就いた。
女性聖職者や同性愛、中絶・避妊を否定し、男女間の結婚に基づく伝統的な家族観といった保守的な考えに強くこだわった。一方で、ツイッターなど新たな情報発信手段による布教を試みた。