杉田氏、目立つ女性・少数派差別 放置の岸田首相、責任免れず
2022年12月28日07時06分
総務政務官を27日に事実上更迭された自民党の杉田水脈氏(55)は、性的少数者(LGBTなど)やアイヌ民族、女性らに対する数々の差別的な言動で批判を浴びてきた。野党の追及を受けて撤回したが、岸田文雄首相は対応が遅れ、政府のポストに起用した判断を含めて責任は免れない。
杉田氏は2012年の衆院選に旧日本維新の会から出馬し、初当選。その後、保守系に推される形で自民党に入党し、17年衆院選で当選した直後に清和政策研究会(現安倍派)に入った。比例代表中国ブロック選出で現在3期目だ。
物議を醸した言動は枚挙にいとまがない。落選中の16年、国連の会議に出席し、「チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題がある」とブログに投稿。18年には性的少数者に関し、「彼ら彼女らは子どもをつくらない、つまり『生産性』がない」と月刊誌に寄稿した。
また、性暴力被害を公表した伊藤詩織さんを中傷するツイートに「いいね」を押した。伊藤さんが杉田氏に損害賠償を求めた訴訟は現在も係争中だ。20年9月の自民党会合では性暴力を巡り「女性はいくらでもうそをつける」と発言した。
今年8月の政務官就任は安倍派の推薦リストに基づく「順送り人事」だったとされる。先の臨時国会で野党が早速追及。当初、杉田氏は「見解は控える」と繰り返し、首相も「自身の責任で丁寧に説明すべきだ」と対応を委ねていた。
3閣僚の連続辞任などで政権の旗色が悪くなった臨時国会終盤の段階で、首相官邸サイドがようやく重い腰を上げたのが実態だ。政府関係者によると、初めは渋っていた杉田氏を説き伏せ、撤回や謝罪をさせた。今回、政権の足をなお引っ張る存在だと判断し、更迭に踏み切った。
杉田氏は27日、辞表提出の理由について記者団に「信念を貫きたい一方、内閣の一員として迷惑を掛けるわけにいかない」と説明。「差別はしていない。支援者の代弁者として、政治家として頑張りたい」と語った。
首相は記者団に、政務官起用について「職務を果たす能力があるか判断して人事を行った」と釈明。任命責任を「重く受け止める」と述べた。