輸入依存脱却を推進 物価高対策、予備費も用意―来年度予算案
2022年12月23日20時24分
政府は2023年度予算案で、物価高への対応としてエネルギーと食料の安全保障強化に取り組む。国際情勢の激変と円安で価格が高騰する輸入品への依存度を下げるため、省エネルギーと食料の国産化などを推進。足元の物価高には、先に成立した22年度第2次補正予算で家計を支援する激変緩和措置を講じており、抜本対策として輸入品の動向に左右されない経済構造への転換を急ぐ。
追加的な物価高対策の実施に備え、政府は新型コロナウイルス対策向けと合わせて4兆円の予備費も用意した。
経済産業省はエネルギーの需給対策として、省エネ設備を導入する企業への補助金に261億円を計上。政府は原発を最大限活用する方針を決定しており、電気料金の高騰対策も念頭に、原発の再稼働を推進する。
農林水産省は、食料安全保障の強化に向けた対策に283億円を確保。自給率が低い麦や大豆の生産を推進し、輸入に頼る肥料や飼料の国内生産にも取り組む。
物価高に負けない賃上げの実現に向けた支援策も講じる。経産省は中小企業の取引適正化対策に24億円を計上。立場の弱い中小企業が原材料高を取引先への納入価格に転嫁できなければ賃上げが進まないため、「下請けGメン」(取引調査員)を増員。価格転嫁が適切に行われているか監督する。
政府は22年度第2次補正予算で、家庭の電気・ガス料金対策に3兆1074億円、ガソリン補助金延長に3兆272億円を措置した。標準的な家庭の場合、電気・ガス・ガソリン代の負担軽減額を来年1~9月に計4万5000円程度と試算している。