政権移行巡り混乱 与党敗北認めず、治安部隊展開―フィジー
2022年12月23日07時10分
太平洋の島国フィジーで、与党フィジーファーストが14日に実施された議会選挙での敗北を認めず、連立合意した野党3党による新政権への移行を巡って混乱が生じている。バイニマラマ首相は22日、「選挙結果を受けて不穏な動きがある。法と秩序を維持する」と主張し、治安部隊を出動させた。
議会選(定数55)の結果、フィジーファーストは26議席で過半数に届かなかった。これに対し、人民連盟、国民連邦党、社会民主自由党の3野党は20日、連立政権を組むことで合意した。
一方、AFP通信やニュージーランドメディアによると、フィジーファーストの幹事長を務めるカイユム司法長官は21日、3野党の連立合意について「法的に実体がない」と批判し、与党の敗北を受け入れない姿勢を強調。「すべては議会での首相指名選挙で決せられるべきだ」と述べた。来年1月初旬までに見込まれる同選挙での巻き返し工作や、実施の引き延ばしを示唆した発言とみられる。
警察・軍当局は22日、投石などの破壊行為や、インド系住民に対する民族差別が行われているとの理由で、治安部隊の展開を決めた。2006年のクーデター以来、実権を握ってきたバイニマラマ首相が延命を図るための動きとの見方がある。
3野党側は反発し、首相が言及した「不穏な動き」の根拠を示すよう要求。次期首相候補とされる人民連盟のランブカ元首相は「永遠に統治することはできない」と円滑な政権移譲を訴えた。