NISA拡充、どう変わる? 資産所得倍増へ起爆剤―ニュースQ&A
2022年12月19日16時15分
自民、公明両党が取りまとめた2023年度税制改正大綱に、少額投資非課税制度(NISA)の恒久化や投資上限額の大幅引き上げなど、抜本的な拡充策が盛り込まれた。政府は国民の金融資産を貯蓄から投資に振り向けることで、所得の増加を図る「資産所得倍増プラン」を打ち出しており、今回の制度拡充がその起爆剤になると期待している。
―NISAとは。
14年に時限措置として導入された税制優遇策で、一定額まで売却益や配当が非課税となる。株や投資信託を購入する一般型は非課税保有期間最長5年、上限年120万円。18年には投信を定期的に購入するつみたて型(最長20年、上限年40万円)も始まった。
―利用状況はどうか。
22年6月末時点の実績は、一般とつみたての合計で1703万口座、累計投資額は28兆円。一般は60代以上、つみたては30~40代の利用が比較的多い。
―問題点は。
一般とつみたてを併用できず、柔軟な投資がしにくかった。時限措置の上、制度が複雑で利用をためらう人も多かったとみられる。
―どう変わるのか。
制度の恒久化と非課税保有期間の無期限化で、いつまでも安心して保有し続けられるようになる。一般型が転じた「成長投資枠」とつみたての併用も可能で、年間上限額は合計360万円、生涯の限度額も1800万円と、大幅に引き上げられる。
―なぜ拡充するのか。
個人金融資産の半分以上が現金・預金で保有されているため、有価証券投資が進んでいる米国や英国と比べると、家計の資産が伸びていないという問題があった。政府は5年間でNISAの口座数と累計投資額の倍増を目指している。
―市場関係者の反応は。
「投資を行う器としては理想的なものが出来上がった」(大和総研の是枝俊悟主任研究員)など、好意的な反応が多い。投資への意欲が高い若年層だけでなく、退職金をもらった高齢者らの資金運用も期待できるとの見方が広がっている。