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「成長と分配」具体化に重点 政権の看板政策、格差是正も―税制改正

2022年12月17日07時26分

 与党が16日に決定した税制改正大綱では、岸田政権の看板政策である「成長と分配の好循環」の具体化に重点を置いた。岸田文雄首相が意欲を示してきた金融所得への課税強化が市場の反発で先送りを余儀なくされた昨年の対応から一転。の抜本拡充や、年間所得が1億円を超えると税負担率が下がる「1億円の壁」是正といった格差縮小策などに踏み込んだ。

貯蓄から投資へNISA抜本拡充 エコカー減税、来年末まで維持―富裕層課税も・税制改正大綱

 首相は2021年の自民党総裁選で「新しい日本型の資本主義」をつくると提唱。格差是正のため、「成長」だけではなく「分配」にも目配りする必要性があると訴えてきた。今回の税制改正では岸田政権の看板政策を具体化しようと、中間層の資産形成を支援するNISA拡充などをどこまで実現できるかが問われた。
 NISAを巡っては、政府・与党が早い段階から恒久化と非課税期間の無期限化の方向で一致。最大の焦点は投資上限額だった。現行のつみたて型は800万円で、与党の税制調査会内では当初、新制度の上限を1500万円とする案が議論されていた。しかし、首相の強い意向もあり、「貯蓄から投資への姿勢を圧倒的な数字で見せなければならない」(自民党の宮沢洋一税調会長)として、1800万円への上積みが決まった。
 NISAの拡充に対しては、投資余力のある人ほど恩恵が大きくなる「金持ち優遇」との批判が付きまとう。そんな中、与党は格差是正の第一歩として超富裕層への課税強化を併せて決めた。所得が30億円超の人を対象に所得税の負担を引き上げるものだ。公明党の西田実仁税調会長は「風穴を開けることができた」と語った。
 ただこれらの改正の結果、「成長と分配の好循環」を実現できるかは未知数だ。NISA見直しを巡っては「投資上限額を増やしても、そこにお金が入るようにするのはこれから」(自民党税調幹部)との声が出ている。また、富裕層への課税強化に関しても、対象人数が200~300人にとどまる見通しであることに「少な過ぎる」(公明党税調幹部)との不満も漏れた。

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