小川さん「子の被害救済法制定を」 元2世信者らが意見表明―参院特別委
2022年12月10日07時15分
参院消費者問題特別委員会は9日夕、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の元2世信者の小川さゆりさん(仮名)らを参考人として招いて質疑を行った。小川さんは被害者救済新法案が成立する運びとなったことに謝意を示した上で、「最大の積み残し課題は子どもの被害を全く救済できないことだ。宗教的な児童虐待を防止する法案を成立させるようお願いしたい」と呼び掛けた。
新法案の審議で元信者が証言したのは初めて。小川さんは子ども時代について「親戚からお年玉をもらっても没収され、誕生日プレゼントや卒業アルバムは買ってもらえず、見た目の貧しさからいじめに遭った」と回想。「高校生から始めた5年間のアルバイト代約200万円も没収され、返ってこなかった」などと被害実態を語った。
その上で「正直、統一教会のことはもう忘れたいと思っていた。しかし、4月に子どもも生まれ、子どもたちにもう被害に遭ってほしくないと発信を始めた」と説明。「法案を作って終わりではなく、実効性があるのかの検証・見直しを短い期間で行ってほしい」と訴えた。「これだけ悪質な団体が税制優遇を受けてはならない」と述べ、宗教法人法に基づく解散命令に期待感を示した。
全国霊感商法対策弁護士連絡会の阿部克臣弁護士は「配慮義務」の表現を強めるなどした与野党の修正合意について「実効性の観点から不十分で、端的に禁止行為にすべきだ」と指摘。一方、消費者法が専門の宮下修一中央大大学院教授は「まずは一歩踏み出すことが大事だ」と新法案を評価し、全国消費生活相談員協会の増田悦子理事長も「救済の幅が広がると期待している」と語った。