統合ミサイル防衛を明記 「反撃能力」併せ、日米連携―安保3文書
2022年12月06日07時10分
政府は年内に改定する国家安全保障戦略など3文書に、米国が推進する「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」の確立を明記する検討に入った。政府関係者が5日、明らかにした。敵のミサイル基地などをたたく「反撃能力」(敵基地攻撃能力)保有に併せて、迎撃を中心とした現行の「総合ミサイル防空」から切り替え、自衛隊と米軍の連携強化を図る。
IAMDは弾道ミサイルや航空機など空からの複合的な脅威に、陸海空やサイバーなどの手段を統合して対処する米国の構想。政府は2018年の「防衛計画の大綱」改定時に導入を検討したが、反撃能力を持たないことなどを理由に見送った経緯がある。
自民、公明両党が2日に反撃能力の保有で合意したことを受け、政府は能力の具体化を急ぐ。国産の「12式地対艦誘導弾」の射程延伸や米国製巡航ミサイル「トマホーク」購入検討など、長射程の打撃力整備を進めるが、目標の探知や攻撃効果の判定などは米国に依存せざるを得ないとみられる。
政府はまた、反撃能力を巡り専守防衛の形骸化を懸念する世論があることを念頭に、IAMDを構築することで、「反撃はミサイル防衛の一手段」(政府関係者)という位置付けを明確にしたい狙いもある。