EU、原油上限価格60ドルに設定か 対ロシア制裁、5日発動―報道
2022年12月02日08時30分
【ワシントン時事】米メディアは1日、欧州連合(EU)各国が対ロシア追加制裁として検討しているロシア産原油の取引価格の上限設定について、1バレル=60ドルとする方向で合意が近いと報じた。先進7カ国(G7)が提案した水準とほぼ一致しており、米国もEUの合意案を支持した。制裁は5日に発動される。
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上限価格設定には、ウクライナ侵攻を続けるロシアのエネルギー収入を減少させる狙いがある。上限価格を上回る取引に対し、海外輸送に必要な船舶保険を引き受けないよう保険会社に義務付ける。G7が提案したとされる「60ドル前後」や「65~70ドル」の水準を巡り、EU内で協議が難航していた。
ロイター通信は外交筋の話として、EU加盟27カ国すべてが合意案を承認する必要があると伝えた。ロシア産原油の市場価格に比べて上限価格が高めに設定されればロシアにとって有利になるため、EUは上限価格を市場価格より5%低く保つ条件を設ける。上限価格は2カ月ごとに見直される。
G7が提案した上限価格を巡っては、ポーランドやバルト諸国がロシア産原油の市場価格低迷を理由に「上限価格が高過ぎてロシアを利する」と反対していた。ポーランドがEUの合意案を受け入れるかは不透明だが、アデエモ米財務副長官は「ロシアの収入を減らしつつ、原油の安定供給を維持できる合意案だ」と評価した。