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暗号資産大手が経営破綻 日本は混乱回避、規制が奏功―ニュースQ&A

2022年11月29日17時24分

FTXトレーディングのロゴマーク(AFP時事)

FTXトレーディングのロゴマーク(AFP時事)

 暗号資産(仮想通貨)交換業大手FTXトレーディングの経営破綻から3週間近く。米国ではFTXのずさんな経営実態が明らかになり、関連業者に危機が飛び火するなど、動揺が広がっている。一方、日本では、世界に先駆けて整備した規制が功を奏し、現時点で大きな混乱は見られない。現状と先行きをまとめた。

FTX日本法人に業務停止命令 親会社の信用不安報道で―関東財務局

 ―何が起きたのか。
 不適切なグループ経営で信用不安に陥ったFTXトレーディングは11日、米国で連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。顧客資産の流用やずさんな財務管理、暗号資産の流出などが次々と明らかになり、サイバー攻撃も続いている。同社と関係の深い暗号資産融資業ブロックファイが破綻するなど、関連業者にも経営危機が連鎖している。
 ―日本の対応は。
 金融庁は10日深夜、子会社のFTXジャパン(東京)に業務停止命令を出し、顧客資産の保全を命じた。同社は、顧客と自社の資産をそれぞれ分別管理していると公表。暗号資産交換業者として登録し、当局の規制下にあったことが、速やかな対応につながった。
 同社は親会社と一部共通のシステムを利用していることもあり、現時点では顧客資産の出金に応じられない状況だが「返金に向け、準備を進めている」(関係者)という。
 ―顧客資産は返金されるのか。
 FTXジャパンが公表した資産管理状況(28日時点)によると、顧客からの預かり資産のうち、法定通貨は日本円約48億1000万円、米ドル約896万ドル(約12億4000万円)の計約60億円を保有している。資産超過だといい、支払い能力はあるとみられている。
 ―日本の規制は。
 金融庁は過去の暗号資産流出を踏まえ、規制をしてきた。交換業者に登録制を導入したほか、顧客財産と業者財産の分別管理や、暗号資産をインターネットに接続しない安全性の高い方法での管理を義務化。顧客資金の信託管理も求めている。
 ―規制は強化されるのか。
 暗号資産交換業大手ビットバンク(東京)の広末紀之社長は、FTXトレーディングの破綻により「米国を中心に暗号資産の規制強化の動きが加速しそうだ」と指摘。日本はすでに一定の規制を導入していることから、「まずは世界の動向を見ていく」(金融庁幹部)構えだ。

 

 ◇暗号資産をめぐる国内の動き
2017年 交換業者に登録制導入
  18年 コインチェック(東京)で約 580億円分流出
  20年 顧客資産を信頼性の高い方法で管理するよう交換業者に義務付け
  22年 FTXジャパンに業務停止命令

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