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「シバイヌ」でロシアに対抗 偽情報と戦う「NAFO」―ネットでウクライナ支援の輪

2022年11月21日07時02分

ウクライナを支援するオンライン集団「北大西洋同志機構」(NAFO)の画像(ツイッターより)

ウクライナを支援するオンライン集団「北大西洋同志機構」(NAFO)の画像(ツイッターより)

  • ウクライナを支援するオンライン集団「北大西洋同志機構」(NAFO)メンバーが投稿した画像(ツイッターより)
  • ウクライナのレズニコフ国防相が投稿したシバイヌの画像(ツイッターより)

 【タリン時事】シバイヌをアバター(分身)に用い、ツイッターでロシアと戦う集団が、大きなうねりを生んでいる。北大西洋条約機構(NATO)をもじり、「北大西洋同志機構」(NAFO)と称する一団だ。ロシアのプロパガンダや偽情報を拡散する投稿を見つけると、「集団防衛」を発動。皮肉交じりのユーモアで、プーチン政権やロシア軍をちゃかして対抗する。市民が始めた活動の輪は、ウクライナ支援の新しい形にもつながっている。

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 ◇武器はユーモア
 ロシアがウクライナ南部ヘルソン市からの撤退を発表した9日、ヘルソン州名産のスイカを抱えたシバイヌの合成画像が、ツイッター上に出現した。「来夏は(ロシアが占領した)クリミア(半島)でビーチパーティーだ」。軍用ヘルメット姿のシバイヌをアバターとするNAFOメンバーは、投稿でこう宣言した。
 「カマ」と呼ばれる男性が5月、シバイヌを戦場の画像に合成し、ロシア軍をからかい始めたのがNAFOの発端だ。程なくして、シバイヌのアバター作成依頼が舞い込むようになった。
 ウクライナを「ナチス」呼ばわりするなどの偽情報を発見したメンバーは、集団防衛義務を定めたNATO条約第5条にちなみ「#Article5」(第5条)とハッシュタグ(検索用の目印)を付ける。すると次々に「Shitpost」と呼ばれるくだらない投稿が行われたり、シバイヌの合成画像が貼り付けられたりする。
 フィンランド政府で偽情報対策を担うアンティ・シランパー氏は「悲惨で残酷な戦争において、くすっと笑えるユーモアでプロパガンダの深刻さを打ち消している」と分析。「このユーモアが多くの人を引きつける理由だろう」と語る。
 ◇一人ひとりが兵士
 エストニアのカラス首相は9月、NAFOの活動に敬意を表し、1日限定で自らのアバターをシバイヌに変えた。NATO加盟を目指すウクライナのレズニコフ国防相も10月、シバイヌの画像と共に「NAFO拡大に議論の余地はない」と投稿。現在、NAFOのフォロワー数は7万人近くに上る。
 シバイヌのアバターを入手するには、ウクライナ支援団体に寄付を行う必要がある。NAFO創設者の一人で元米海兵隊員のマット・ムアーズ氏によれば、アバターやグッズの売り上げで集めた寄付は30万ドル(約4200万円)を超えた。
 NAFOメンバーでエストニア在住のトリーノ・ペルベさん(36)は、プロパガンダや偽情報の投稿者がNAFOの活動を「本気で嫌がっている」と感じている。脅迫メールも届く。だが、「戦場の兵士と同様、私たち一人ひとりも前線で戦っている」。ウクライナが勝って戦争が終わるまで、「シバイヌ兵士」でいるつもりだ。

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