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観光か保全か、揺れる世界遺産 専門家「適切なバランスを」―ギリシャ

2022年11月19日07時10分

アクロポリスの丘にあるパルテノン神殿を訪れる観光客ら=10月、アテネ(EPA時事)

アクロポリスの丘にあるパルテノン神殿を訪れる観光客ら=10月、アテネ(EPA時事)

 【アテネAFP時事】18の世界遺産を抱えるギリシャが、観光開発と遺跡保全の間で揺れている。新型コロナウイルス禍からの回復を目指す中、専門家は開発と保全の間で「適切なバランス」が求められていると指摘した。

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 ギリシャでは17日から、世界遺産条約採択の50周年を記念した国際会議を開催中。
 ギリシャ政府は長年にわたり危機的状況にある経済やコロナ禍からの回復を目指し、観光開発を経済成長の柱に据えた。夏の観光シーズン最盛期の今年8月にアテネのアクロポリス遺跡を訪れた観光客は1日当たり1万6000人と前年を大きく上回った。1~9月の外国人の入国者も前年の2倍を超えている。
 一方、オーバーツーリズム(観光公害)を巡る懸念も広がった。考古学の専門家からは「成長の利益がこれまで以上に優先された」と批判の声が上がっている。アクロポリス遺跡では2年前、障害者が利用しやすいよう昇降機と段差をなくすためにコンクリート製のスロープが設置されたが、「遺跡の美しさを変えてしまう」と反発を呼んだ。
 アテネ大学の教員は「黒か白ではない。保全と開発を巡っては、適切なバランスを見いだすために絶え間ない取り組みが求められる」と語った。

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