「ファスト映画」で5億円賠償命令 東宝など13社の著作権を侵害―東京地裁
2022年11月17日18時57分
映画を10分程度に編集した「ファスト映画」を無断で投稿されたとして、東宝や松竹など映画製作13社が投稿した男女3人に損害賠償を求めた訴訟のうち、2人に対する判決が17日、東京地裁であり、杉浦正樹裁判長は著作権の侵害を認め、請求通り計5億円の賠償を命じた。
「ファスト映画」投稿で提訴 東宝など13社、損害5億円請求―東京地裁
ファスト映画を巡る賠償命令は初めて。弁護団によると、残る1人は海外に出国したとみられ、審理が始まっていない。3人は昨年、宮城県警に逮捕され、著作権法違反罪で執行猶予付きの有罪判決が確定している。
訴状などによると、3人は2020年初めごろからファスト映画をユーチューブ上に投稿した。無断での投稿は同年10月時点で「シン・ゴジラ」や「容疑者Xの献身」など54作品に及び、動画の再生回数は計1000万回余りに上った。
原告側はユーチューブの配信価格などを踏まえ、損害額を再生1回当たり200円と算出。総額は20億円に上るが、「最低限の被害回復」として、うち5億円を請求した。
今回判決が出た2人は事実関係を争っておらず、杉浦裁判長は「故意に著作権を侵害した」と結論付けた。損害額についても原告側の主張を認めた。
原告側の中島博之弁護士は判決後の記者会見で「ペナルティーは重大だと示すことで抑止効果になった」と評価。業界団体の後藤健郎代表理事は「(著作)権利者にリターンがないと次の作品は生まれない」と訴え、視聴者の啓発にも力を入れるとした。