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ウクライナ情勢、緊迫度増す NATO域内にロシア製ミサイル―G20サミットに衝撃

2022年11月16日20時56分

16日、インドネシアのバリ島で緊急会合に臨む先進7カ国(G7)首脳ら(AFP時事)

16日、インドネシアのバリ島で緊急会合に臨む先進7カ国(G7)首脳ら(AFP時事)

  • 16日、インドネシアのバリ島でポーランド情勢について話すバイデン米大統領(AFP時事)
  • 15日、停電が発生したウクライナ西部リビウ(EPA時事)

 インドネシア・バリ島で20カ国・地域首脳会議(サミット)に出席していた欧米の首脳らに衝撃が走った。北大西洋条約機構(NATO)加盟国のポーランド領内に15日、ロシア製ミサイルが着弾し、2人が犠牲になった。ロシアによるウクライナ侵攻の戦火が西側諸国へ飛び火するのか、情勢は緊迫の度を増している。

NATOどう動く? 北大西洋条約第4、5条とは

 ◇G7は結束アピール
 バイデン米大統領の対応は迅速だった。
 ミサイル着弾の報告を受け、バリ島ヌサドゥアの滞在先からポーランドのドゥダ大統領と電話で話したのは16日の日の出前。加盟国に対するNATOの防衛義務に「米国は強固な責任がある」と伝えた。
 午前9時前、バイデン氏が滞在するホテルに岸田文雄首相ら先進7カ国(G7)首脳らが続々と集まった。間もなく首脳らが楕円(だえん)形の机を囲んで対応を話し合う様子が、ネットでも公開された。

 では、ロシアに対し一致して非難できるかが注視されていた。バイデン氏は記者団に「ウクライナの自衛に必要なことを継続する」と結束をアピールしたが、議長国インドネシアをはじめ参加国の半数の首脳は、ホテルに招かれなかった。
 ◇強硬派の不満回避狙いか
 非難の的になっているロシアのラブロフ外相は、経済フォーラムであるG20の「政治化を試みた」と欧米に反発し、会議を初日の15日で切り上げていた。ロシアは同日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)や西部リビウなど全土に向けて約90発のミサイルを発射した。
 ロシアのプーチン政権は10月からウクライナ全土へのミサイル攻撃を強化。9月の北東部からのロシア軍撤退で、不満を持つ強硬派の留飲を下げるため、民間インフラを狙うようになったとみられている。
 既に各地で電気や暖房が使えなくなる中、15日のミサイル攻撃では「700万世帯以上が停電に見舞われた」(ウクライナ高官)。隣接するポーランドへの着弾はこの間に発生した。
 ◇欧州は警戒高める
 G7首脳らとの会合後、バイデン氏は記者団に「(着弾した)ミサイルの軌道から、ロシアから発射されていない可能性がある」と指摘し、慎重に調査結果を待つ考えを表明。その後、ドゥダ大統領はウクライナ軍が迎撃で用いた可能性が高いとの見方を示した。結論は確定していないが、ウクライナ周辺国の不安の高まりは隠せない。
 ポーランド政府はミサイル着弾後、軍の警戒態勢を引き上げ、特に領空監視を強化すると表明。バルト3国の一つ、リトアニアのナウセーダ大統領も、ツイッターで「NATOの領土は1インチでも守らなければならない」と危機感を示す。
 NATOは条約第5条で、加盟国が攻撃を受けた場合には全加盟国への攻撃と見なし、武力行使を含め必要な行動を取ると定めている。
 ラトビアのパブリクス副首相兼国防相は、「そもそもロシアがウクライナを攻撃しなければ、こうした悲劇は起きなかった。いかなる国にもミサイルが落下しない方策を見つける必要がある」と訴えた。(ヌサドゥア時事)

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