エコカー減税、1年据え置き案 経産省要求、財務省など慎重姿勢―物価高配慮、脱炭素化遅れも
2022年11月11日22時51分
2023年度税制改正で焦点となる脱炭素化を目指した自動車関係税の見直しを巡り、経済産業省が「エコカー減税」など燃費性能に応じた減税優遇措置を、現行水準で1年間維持するよう求めていることが11日、分かった。物価高や半導体不足に伴う減産・納期長期化の影響を踏まえ、「1年間は現行制度・水準で据え置き」が必要だとの見解を示している。
これに対し各省の税制改正要望を査定する財務・総務両省は、現行水準は減税対象が広過ぎるとして慎重姿勢。脱炭素化の促進へ燃費性能に関する達成基準を引き上げ、優遇対象車を絞り込みたい考えだ。与党税制調査会内にも「燃費の達成度を厳しくしていくことが必要だ」(幹部)との意見があり、税制改正の議論で激しい綱引きとなりそうだ。
経産省が維持を求めているのは、車検時に適用される自動車重量税の「エコカー減税」と、車の購入時に適用される自動車税の「環境性能割」。いずれも環境に優しい電気自動車(EV)などにかかる税負担を免税、非課税にするとともに、ガソリン車やハイブリッド車(HV)には燃費基準の達成度に応じた減免優遇を認めている。
現行では燃費基準の6割を達成すれば減税対象車となり、燃費性能が良いほど税負担が軽減される仕組み。経産省は23年度は達成水準を維持し、24年度は新車販売台数に占める優遇対象車の割合が現状規模(約7割)を維持できるよう配慮しつつ、基準を切り上げる案を提示する。
政府は35年までに、新車販売に占めるEVなど次世代車の割合を100%にする目標を掲げている。緩やかな基準の税制優遇の継続は、技術革新ひいてはEV化の遅れにつながる恐れがある。自民党税制調査会の宮沢洋一会長は「今回の税制改正を(目標達成に向けた)第一歩としたい」と見直しに意欲を示しており、厳しい折衝が予想される。