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円安、ODAを直撃 大幅目減り、在外職員も影響

2022年11月07日13時33分

外務省庁舎=東京都千代田区

外務省庁舎=東京都千代田区

 急激な円安は、政府が重要な外交手段の一つに位置付ける政府開発援助(ODA)を直撃している。ドル換算などでは目減りとなり、事業縮小となれば支援対象国との関係に悪影響を及ぼしかねない。外務省は2022年度第2次補正予算案で不足分を補う方針だが、長期化を懸念する声が出ている。

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 ODA予算は22年度当初で5612億円。1ドル=108円を想定しており、その後の急速な円安に伴い、ODA事業を受注した日本企業に追加負担が生じているという。外務省幹部は「現地での資材購入や雇用のためドルで支払う場合、困ってしまう」と指摘する。
 首相は6月にシンガポールで行った講演で、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた行動計画を来春までに策定すると表明。構想のカギとなるのはアジア各国で、日本による2国間援助の主な対象地域でもある。首相はODA拡充の意向も示したが、円安は「岸田外交」の行方にも影を落とす可能性がある。
 外務省幹部は、「3階建てを平屋で済ますわけにはいかない」との例えで、「相手国との信頼関係に関わる」と心配する。外務省は2次補正予算案で75億円を措置したが、省内からは「円安が長期化すると、23年度の事業規模自体が小さくなるかもしれない」(幹部)との声が漏れる。
 急激な円安の影響は多方面に及び、ドルで支払う国際機関への拠出金が膨らむ可能性が懸念されている。在外公館の職員にとっても打撃で、8月と11月には為替変動が激しい地域を対象に職員手当を増額したが、職員からは「円安に加え物価高もある。現地通貨で支払ってほしい」などと悲鳴が上がる。

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