岸田首相、自動車核に経済成長を 賃上げへの協力も要請―トヨタ社長らと会談
2022年11月02日19時13分
岸田文雄首相は2日、首相官邸でトヨタ自動車の豊田章男社長や経団連の十倉雅和会長らと会談した。電動化や自動運転など自動車業界が変革期を迎える中、首相は「自動車を核としてさまざまな社会課題を解決し、経済成長につなげていく」と述べた。政権が重視する持続的な賃上げについては、引き続き取り組むよう要請した。
会談には、自動車産業の成長戦略を議論する経団連「モビリティ委員会」のメンバーが出席。首相が特定の業界と協議の場を設けるのは異例だ。
海外で加速する電気自動車(EV)への移行に加え、ITなど異業種を交えた競争も激化し、国内自動車産業の事業環境は大きく変化している。首相は「わが国の経済と雇用を守り抜くために官民が連携し、さらなる成長にチャレンジしていく必要がある」と強調した。今後も対話を続け、官民で優先して取り組む課題などを議論する。
国内自動車産業は、年間出荷額が約60兆円に達する基幹産業で裾野も広く、関連業界を含めると就業者は約550万人に上る。岸田政権が掲げる構造的な賃上げでは、来年の春闘でトヨタなど自動車大手がリードしていくことが期待される。首相は「これまでの賃上げや(下請け企業との)取引適正化についての積極的な取り組みを高く評価する。引き続き協力をお願いする」と述べた。