安保緊急事態、相互に連携 中国念頭、15年ぶり安保宣言―日豪首脳会談
2022年10月22日17時33分
【パース時事】岸田文雄首相は22日(日本時間同)、オーストラリアのアルバニージー首相と同国西部パースで会談し、両国の安全保障協力を深化させる新たな共同宣言に署名した。日豪両国の安全保障に影響を及ぼす緊急事態に際して「相互に協議し、対応措置を検討する」ことを盛り込んだ。
岸田首相はこの後の共同記者発表で、新安保共同宣言について「安保・防衛協力の今後10年の方向性を示す羅針盤だ」と説明。「日豪の特別な戦略的パートナーシップは新たな次元に入ったという認識で一致した」と語った。
アルバニージー首相も「地域の安全と安定を支援する私たちの取り組みの自然な一歩だ」と述べた。
日豪の安保共同宣言は、2007年3月に当時の安倍晋三、ハワード両首相が発表して以来15年半ぶり。前回の文書はテロや大量破壊兵器の拡散防止、平和維持活動に関する協力が中心で、今回初めて緊急事態への対処に踏み込んだ。日豪関係の「準同盟」の性格を鮮明にした形だ。
共同で対応する対象の国名は挙げなかったが、覇権主義的な動きを強める中国を念頭に、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取り組みを続ける方針を強調。その上で「日豪の主権、地域の安全保障上の利益に影響を及ぼし得る緊急事態に関し、相互に協議し、対応措置を検討する」と記した。