外国人観光客が戻ってくる? 水際対策緩和、消費に期待―ニュースQ&A
2022年10月19日16時38分
政府が今月11日、新型コロナウイルスの水際対策を大幅に緩和した。約2年半前にほぼ途絶えた外国人旅行客が再び大勢訪れるようになれば、観光関連産業が息を吹き返し、日本経済の底上げにつながると期待される。
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―水際対策の大幅緩和とは。
コロナの感染状況が落ち着いた今年3月以降、政府は外国人の入国制限を徐々に緩和してきた。6月に団体旅行限定で観光客の受け入れを再開。9月には、1日の入国者数上限を5万人に引き上げた。今月11日、この上限を撤廃するとともに、個人旅行やビザなし渡航を解禁し、コロナ禍前に近い状況に戻った。
―コロナ禍前の訪日外国人数は。
訪日外国人数は2013年に年間1000万人を突破し、19年には3188万人に達した。買い物や飲食などの消費額は計約4兆8000億円に上り、日本経済に大きく貢献した。しかし、21年は水際対策で約25万人に激減。今年は持ち直しつつあるが、9月の訪日外国人数はまだ19年比で1割にも満たない。
―緩和の経済効果は。
今回の緩和発表後、航空各社では海外から日本に向かう国際線の予約が急増。鉄道、ホテル、旅行会社のほか、外食や百貨店など幅広い業種が期待を膨らませている。大幅な円安で訪日旅行の割安感が高まっていることも追い風になりそうだ。岸田文雄首相は訪日外国人の年間消費額について「速やかに5兆円超」を目指すと表明している。
―観光地が外国人でにぎわい始めたようだ。
ただ、コロナ禍前に訪日消費の約4割を占めた中国本土と香港からの旅行客は、中国政府の「ゼロコロナ政策」で急回復が見込めない。また、入国には今後も陰性証明かコロナワクチン3回接種の証明が必要で、関連業界には「訪日のネックになる」と一段の緩和を望む声が多い。
―本格回復はいつごろか。
SMBC日興証券は、一定の円安効果を加味すれば24年末ごろに訪日客の消費がコロナ禍前の勢いを取り戻すと予測する。政府は大阪・関西万博を開く25年をにらみ、改めて「観光立国」を目指す新計画を今年度中に策定する予定。ただ、コロナ禍前に掲げた「30年に6000万人」の目標達成は簡単ではない。