組織委元理事、4回目逮捕 さらに5400万円収賄疑い―ADKとサン・アローから請託・五輪汚職
2022年10月19日13時39分
東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、広告大手ADK(旧アサツーディ・ケイ)とぬいぐるみ製造サン・アローから計約5400万円の賄賂を受領したとして、東京地検特捜部は19日、受託収賄容疑で大会組織委員会元理事、高橋治之容疑者(78)を再逮捕した。贈賄容疑で新たにADKホールディングス社長、植野伸一容疑者(68)ら同社関係者3人を逮捕するとともに、2社の関係先を捜索した。高橋容疑者の逮捕は4回目。
立件された賄賂の総額は、紳士服大手AOKIホールディングス、出版大手KADOKAWA、広告大手大広からの分と合わせ、計約1億9600万円に上った。
他に贈賄容疑で逮捕されたのは、ADK元専務執行役員の久松茂治(63)、元事業本部長の多田俊明(60)両容疑者。
高橋容疑者の再逮捕容疑は、ADKが電通の販売協力代理店としてスポンサー契約に関われるよう植野容疑者らから請託を受け、2017年11月~22年1月に自身の会社「コモンズ」や知人(75)の休眠会社「アミューズ」名義の口座で計約4700万円を受領。大会公式マスコット「ミライトワ」「ソメイティ」のぬいぐるみ製造・販売でもサン・アロー元社長(74)から便宜供与を頼まれ、18年10月~21年4月に計約700万円をアミューズ名義で受け取った疑い。
サン・アロー元社長らについては在宅で捜査が進められるとみられる。
ADK関係者によると、同社は五輪を見据え、植野容疑者が社長に就任した13年から月50万円をコンサルタント料としてコモンズに支出。当時からスポーツマーケティングに弱く、高橋容疑者の口添えで電通の事業を受注するようになったとされる。
大会が近づくと、高橋容疑者の仲介で電通の協力代理店に選ばれ、18年に駐車場大手のスポンサー契約に介在した。同容疑者はADKが電通から得た委託料を折半する形で約2000万円をアミューズに支払わせていたという。
ADKホールディングスの話 社長ら3人が逮捕された事態に至ったことは誠に遺憾であり、関係者に深くおわび申し上げる。事件の解決に向け、捜査に全面的に協力する。