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ローカル線「地域に恩返し」 「エンタメ」で貢献目指す―奮闘する銚子電鉄・鉄道150年

2022年10月13日07時07分

銚子電鉄の竹本勝紀社長=9月29日、千葉県銚子市の仲ノ町駅

銚子電鉄の竹本勝紀社長=9月29日、千葉県銚子市の仲ノ町駅

  • 観音駅を出発する銚子電鉄の列車=9月29日、千葉県銚子市
  • 緑のトンネルを走る銚子電鉄の列車=9月29日、千葉県銚子市

 各地のローカル線は利用客の減少で苦しい経営が続く中、それぞれ知恵を絞りながら日々列車を走らせている。「ぬれ煎餅」で知られる千葉県銚子市の銚子電鉄もその一つ。「地域にどんな恩返しができるか」と話す社長が目指すのは、日本一の「エンターテインメント鉄道」だ。

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 「沿線人口の減少や自家用車の普及で、長期低落傾向は否めない」。竹本勝紀社長(60)はローカル線が直面する苦境をこう説明する。銚子電鉄も銚子―外川間の鉄道事業収入は全体の15%。会社の屋台骨を支えるのは、菓子などの販売だ。
 ぬれ煎餅は2006年の経営危機の際、ホームページで「電車修理代を稼がなくちゃいけないんです」と購入を懇願して話題を呼んだ。東日本大震災後の14年には工場と直売所を新設し、竹本社長は「煎餅屋の自覚を持っています」と笑う。
 ただ、本業も手をこまねいているわけではない。全長6.4キロと短く、絶景ポイントもないが、さまざまなイベントを企画して集客するエンタメ路線を掲げる。列車内で肝試しを楽しむ「お化け屋敷列車」は夏の風物詩に。アイドル育成ゲームとコラボレーションした1日乗車券を販売し、市内観光も促している。
 「ローカル線は地域と表裏一体。地域に何ができるか、どんな恩返しができるかに存在意義がある」と話す竹本社長。各地でローカル線の存廃論議が起こりつつあるが、「鉄道の再構築だけを取り出すのではなく、その地域全体を含めて再構築を話し合うべきだ」と指摘する。
 来年には運行開始から100年を迎える。竹本社長は「奇をてらったこと、これからもやっていく」と宣言。地域の広告塔として、「エンタメ鉄道を徹底してたくさんのお客さまを銚子に呼び、地域に貢献したい」と意気込んでいる。

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