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円買い介入、なぜ実施? 政府・日銀、24年ぶり―ニュースQ&A

2022年10月11日15時52分

【図解】円買い介入の仕組み

【図解】円買い介入の仕組み

 政府・日銀は9月22日、急激な円安に歯止めをかけるため、外国為替市場で円を買ってドルを売るに踏み切った。24年3カ月ぶりの「円買い介入」が実施された背景や、その効果をまとめた。

為替介入、日本の立場説明へ 鈴木財務相、G20会合で

 ―の目的は。
 為替相場の急激な変動を抑えて安定させることだ。9月初めに1ドル=139円前後だった円相場は、介入直前に146円目前まで円安・ドル高が進んだ。本来は市場取引に任せるのが筋だが、円安は食料や資源など輸入品の価格上昇を招く。政府・日銀は、投機的な動きを背景とした一方的な円安で経済に悪影響が及ぶのを避けるために決断したと説明している。
 ―なぜ円安が進んでいるのか。
 米国が高インフレを抑えるため大幅な利上げを続ける一方、日本は大規模金融緩和を維持している。金利が高い国の通貨の方が資金運用に有利なため、外為市場では円売り・ドル買いが進んだ。
 ―介入の方法は。
 日本の場合、介入実施を決める権限を財務相が持っており、その指示に従って、日銀が外為市場で売買する。円買い介入の場合は、政府の外国為替資金特別会計で外国の中央銀行などに預けているドル資金を使う。今回は2.8兆円分のドルを売った。
 ―「口先介入」という言葉も耳にする。
 政府・日銀の当局者がを示唆して市場をけん制することだ。日銀が9月14日に行った「」もその一環。金融機関に電話で為替相場の水準を尋ねる行為で、過去のの前にも実施されたことがあり、市場は身構えた。この時、鈴木俊一財務相も「(介入を)やる時は間髪を入れず、瞬時に行う」とけん制のトーンを強めたが、円安の流れは変わらなかった。
 ―円買い介入の効果はあったのか。
 介入直後に円相場を5円以上、円高方向へ押し返した後は再び円安に振れた。市場からは「短期的には効果があった」との評価が聞かれる。
 ―政府・日銀は介入を続けるのか。
 政府・日銀は追加介入も辞さない構えを示しているが、円買い介入は外貨準備高の範囲でしか実施できない。9月末の残高は約180兆円に上るが、米国債など売却しにくい資産も多く、実際に使える額は限られている。市場では「弾切れ」の可能性が指摘されている。
 米国が円買い・ドル売りの「協調介入」に応じれば介入規模が大きくなって効果も高まるが、ドル安は米国のインフレを加速させかねず、協力を取り付けるのは難しそうだ。

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