全国で全数把握見直し 26日に先行9県から拡大―新型コロナ
2022年09月25日20時32分
すべての新型コロナウイルス感染者について、法律に基づく発生届の提出を医師に義務付ける「全数把握」が26日から全国で見直される。届け出対象を重症化リスクの高い人に限定。保健所や医療機関の人手が限られる中、特にケアが必要な患者に医療サービスが行き渡るようにする狙いだ。希望する9県では今月から順次、先行して見直しが始まっており、全国に拡大する。
政府は、若い人の重症化リスクが低く、高齢者は高いというオミクロン株の特性を踏まえ、届け出対象の絞り込みを決定。(1)65歳以上(2)入院を要する人(3)重症化リスクがあり治療薬の投与などが必要な人(4)妊婦―に限定する。ただし、感染動向を把握するため、陽性者数の集計は続ける。
先行各県では、見直しによる事務負担軽減の効果が出ている。宮城県は3~11日分を集計したところ、届け出件数が約8割減少したと発表。鳥取県の担当者からは「重症化リスクの高い高齢者や妊婦らの対応に重点化でき、命を守ることにつながっている」との声が出ている。
届け出の対象外で、検査キットによる自己チェックで陽性が判明した場合は、自治体の健康フォローアップセンターとやりとりしながら自宅などで療養する。体調急変時は、センターに配置された医師らに相談したり、医療機関の紹介を受けたりできる。
自宅療養者の健康管理では、まずは本人とセンターがつながることが欠かせない。検査キットで陽性が判明したらセンターに連絡・登録するよう、先行各県とも周知に力を入れている。またセンターには、事務的な手続きの問い合わせや生活物資送付の依頼も寄せられる。体調悪化の訴えを見逃さないため、各県とも電話回線を増強して対応している。
このほか、三重県は発生届の対象から外れた感染者の氏名と生年月日、居住市町名の3項目のみを簡単に把握する独自のシステムを整備。病状が急変して救急搬送が必要な場合でも、スムーズに病院へ運べるように備えている。