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輸血用血液、独自製造 自衛官から採血、長期冷凍保存―日本周辺有事に備え・防衛省検討

2022年09月15日08時29分

防衛省=東京都新宿区

防衛省=東京都新宿区

 防衛省は、自衛隊員のための輸血用を自前で作り、長期保存する検討に入った。複数の関係者が14日明らかにした。日本周辺での有事への対応を想定し、外部調達しているこれまでのとは別に、隊員らから採血して冷凍状態で保管しておく。2023年度予算概算要求に関連経費1700万円を計上した。

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 防衛省は現在、輸血用を国内で唯一の製造元である日本赤十字社から調達している。将来的にはこれと並行しながら長期保存用として、自衛隊内で採血から製造、保存まで自己完結させたい考えだ。
 対象とする血液製剤は、長期保存が可能な冷凍赤血球。冷蔵では21日しか持たないが、冷凍すれば10年間保存できる。冷凍赤血球の製造機器を購入して、まずは自衛隊中央病院(東京都)に試験導入。全国の自衛隊病院などへの展開を目指す。
 輸血を管轄する厚生労働省の規定では、日赤を除き、採血と輸血は同一の病院などで行うという制約がある。防衛省は、健康な隊員の採血場所と負傷した隊員への輸血場所が異なるケースにも対応できるよう検討する。
 米国や英国は、政府や軍が兵士やその家族、国民から献血を受けて兵隊用の血液製剤を確保している。防衛省幹部は「自分たちで使う血液を確保するのは当然だ」と指摘する。
 沖縄県・尖閣諸島周辺の接続水域での中国船の航行が常態化するなど、日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している。同省幹部は、輸血用血液の独自製造、長期保存に関し「南西で有事となった際に命をどう救うのかにつながる」と話す。

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