日ロ関係、一層不透明に 政府、ビザなし交流破棄に抗議
2022年09月07日08時01分
日本政府は6日、ロシアが北方四島の「ビザなし交流」や「自由訪問」に関する日ロ間の合意を一方的に破棄したことを受けて、ロシア側に抗議した。ロシアのウクライナ侵攻に対する欧米各国の対ロ制裁に参加した日本への揺さぶりとみられるが、ロシアの対日強硬姿勢がよりあらわになり、今後の日ロ関係は一層不透明さを増した。
元島民、ロシアに憤り 訪問機会喪失に不安も―北方四島ビザなし交流破棄
岸田文雄首相は6日、「極めて不当なもので、断じて受け入れられない」と述べ、ロシア側の対応を厳しく批判した。首相官邸で記者団の質問に答えた。
ビザなし交流などの北方四島での交流事業は2020年度以降、新型コロナウイルスの感染拡大を理由に実施が見送られてきた。そんな中、ロシアは今年3月、ウクライナ侵攻に対する日本の経済制裁に反発し、事業の停止を発表していた。
今回のロシア側の対応は合意の破棄に踏み込むもので、外務省幹部は「今後、再開交渉をする時にはゼロからのスタートになるかもしれない」と指摘。別の幹部は「ロシアは欧州に対してエネルギーの輸出制限など制裁への報復をしている。その一環だ」と批判した。
ロシアが今後も日本への対応をエスカレートさせれば、日ロ関係のさらなる悪化は必至。北方領土問題を含む平和条約交渉の再開など両国間の懸案解決は程遠くなることから、首相は「高齢になられた元島民の方々の思いになんとか応えたいという考え方は変わりない。今後のロシアの対応について、しっかり注視したい」と語った。