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岸田首相、世論反発に危機感強く 国葬の費用提示、焦点に

2022年09月01日07時03分

記者会見する岸田文雄首相=31日午前、首相官邸

記者会見する岸田文雄首相=31日午前、首相官邸

  • 会談に臨む野党国対委員長ら=31日午前、国会内

 首相が安倍晋三元首相の国葬について、国会で自ら説明する方針に転換したのは、世論の強い反発に危機感を抱いたためだ。ただ、野党側は警備や外国要人の接遇を含めた費用の総額を首相の説明より前に提示するよう要求。首相は慎重な姿勢で、国民の理解を得られるかは依然見通せない。

岸田首相、国会で国葬説明へ 旧統一教会との関係陳謝

 「国民の信頼が揺らいでいると深刻に受け止めている。総裁選出馬を決意した昨年の原点に立ち戻り、私が先頭に立ち政治への信頼回復に取り組む」。首相は31日の記者会見で、閉会中審査への出席を決めた理由をこう説明した。
 政府・与党は当初、閉会中審査での国会説明は官房長官に委ねる構えだった。だが、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題で内閣支持率は急落。国葬に関しても「反対」が50%を超える調査結果があった。「首相が前面に立たないといけない」。与党内では、国葬実施を判断した首相が説明責任を果たすよう求める声が強まっていた。
 ただ、政府・与党は野党が要求していた臨時国会の早期召集に応じる考えはさらさらなく、首相出席で乗り切る方針だ。首相はこの日、午前11時からの会見に先立って記者団の取材に応じ、国会出席の考えを表明する異例の対応。同10時からの野党国対委員長会談で、首相への出席要求で一致することを見越し、説明に積極的な姿勢をアピールする思惑が透けた。
 一方、会見では論点に正面から答えないことも多かった。事前に費用の全体像を示す考えを問われ、「外国要人の数を見極めないと明らかにするのは難しい」。安倍氏と旧統一教会の関係をめぐる調査については「本人が亡くなられた今、十分に把握するのは限界がある」と述べるにとどめた。
 これに対し、立憲民主党や日本維新の会など野党側は国対委員長会談で、費用総額を事前に明示するよう求めていくことを確認した。立民の代表は記者団に「十分な質疑時間」を要求。同党の国対委員長は「お茶を濁すような質疑ではなく、政府も十分準備して国民の疑念に答える審査にしたい」と記者団に語った。
 立民は9月1日に開く予定の旧統一教会に関するヒアリングなどを通じ、首相へ攻勢を掛ける方針だ。
 自民党の閣僚経験者は「首相のメッセージが明確で良かった。逃げない姿勢が良い」と評価した一方、「簡単には収束しない」と指摘。公明党ベテランは「判断が遅い。世論に反応して右往左往していると取り返しがつかなくなる」と漏らした。

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