岸田首相、国会で国葬説明へ 旧統一教会との関係陳謝
2022年08月31日23時24分
岸田文雄首相は31日、首相官邸で記者会見し、9月27日に実施する安倍晋三元首相の国葬に対する批判を踏まえ、国会の閉会中審査に自ら出席し、質疑に応じる意向を明らかにした。また、相次ぎ判明した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党議員の関係を党総裁として陳謝。今後は関係を絶つよう党内で徹底すると強調した。
国葬をめぐり、首相は「批判を真摯(しんし)に受け止め、正面から答える責任がある。政権の初心に帰り、丁寧な説明に全力を尽くす」と述べた。閉会中審査は9月上旬にも行われる見通しだ。
国葬を決断した理由に関しては「諸外国から国家元首・首脳レベルを含め、多数の参列希望が寄せられている。礼節をもって応えることが必要だ」と説明。その上で「多くの海外要人と可能な限り会談する。安倍氏が培った外交的遺産を受け継ぎ、発展させる意思を内外に示す」と弔問外交に意欲を示した。
政府は、各府省に弔意表明を求める閣議了解を見送る方針を決めている。国民に弔意を強制する意図がないことを示すためだ。ただ、首相は自身が務める葬儀委員長の決定として、各府省に弔旗掲揚や黙とうを求めると説明した。
国葬に要する経費の総額は「外国要人の数など具体的に確定しないと数字を示せない」と言及を避けた。国葬実施の客観的基準を設けることについては、「基準を準備して当てはめるのではなく、総合的に時の政府が責任を持って判断するのがあるべき姿だ」と否定的な考えを示した。
一方、旧統一教会の問題をめぐり、首相は「率直におわび申し上げる」と謝罪。茂木敏充幹事長に対し、関係断絶の徹底やチェック体制の強化などを指示したことを明らかにした。
首相は「自民党として説明責任を果たし、厳正な対応を取っていく。政府としても被害者救済に全力で取り組む」と強調。ただ、旧統一教会と安倍氏の関係検証については「本人が亡くなった今、十分に把握することには限界がある」と否定的な考えを示した。
首相は31日、新型コロナウイルス感染の療養期間を終え、対面での職務に復帰した。