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GDPって何? 国の経済規模、コロナ前回復―ニュースQ&A

2022年08月29日16時52分

【図解】実質GDP実額の推移

【図解】実質GDP実額の推移

 2022年4~6月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価の変動を除いた実質で前期比0.5%増加した。金額で見ると年換算で2.9兆円増えて542兆円となり、新型コロナウイルス感染拡大前の水準を上回った。
 ―そもそもGDPって何?
 GDPは英語の「Gross Domestic Product」の略で、「国内総生産」のこと。国の経済規模を測る代表的な指標で、一定期間内にその国の中でモノやサービスの付加価値がどのくらい生み出されたかを示している。例えば、自動車や機械が前の期間よりたくさん生産されたり、個人がより多く消費したりすればGDPは増加する。過去と比べた伸び率が「経済成長率」となる。
 ―どうやって計算しているのか?
 内閣府が四半期ごとに、消費者や企業、政府の支出に関するさまざまな統計を集めて計算している。個人消費は家計調査や商業動態統計、企業の設備投資は機械受注統計などがベースになる。国内で作った製品の輸出はプラスに、輸入は海外に代金を支払うためマイナスとして計算する。日本人による海外での消費や生産は含んでいない。
 ―実質GDPと名目GDPの違いは。
 名目GDPは、その時々の実際の金額で計算された数字で、より生活実感に近いとされる。ただ、物価が上昇するとその分だけ金額が大きくなってしまう。このため、過去と比べて経済が成長しているかを見る場合は、物価変動の影響を除いた実質GDPを見る必要がある。
 ―GDPがコロナ前を回復したのか?
 コロナ前に当たる19年10~12月期の実質GDPは年換算すると540兆円だった。コロナ感染が急拡大し始めた20年4~6月期にはこれが500兆円まで落ち込んだが、今年4~6月期に日本経済がようやくコロナ前の水準を回復したと言える。
 ただ、「コロナ前」の基準となっている19年10~12月期は、消費税が8%から10%に増税された影響で消費が落ち込んでいた時期でもある。例えば、ピークだった18年4~6月期の557兆円にはいまだ届いておらず、本格回復とまでは言えない状況だ。
 ―今後の見通しは?
 コロナ禍で落ち込んでいた個人消費の回復などを背景に、しばらくは増加が続く見通しだ。ただ、ロシアによるウクライナ侵攻などの影響でエネルギーや食品の価格が上がっており、個人消費の回復に水を差す懸念がある。また、アメリカや中国の景気回復が鈍化し、輸出が伸びなくなる恐れも指摘されている。

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