岸田首相、信頼回復へ出はなくじかれ テレワークで公務再開
2022年08月23日07時05分
新型コロナウイルスに感染した岸田文雄首相が22日、住まいの首相公邸からテレワークで公務を再開した。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題などで政権への逆風が強まる中、内外の課題の取り組みを通じて国民の信頼を回復したい考えだったが、夏休み最終日に感染が確認され、出はなをくじかれた格好だ。
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「少しせきは出るが、熱は平熱に戻り、この通り普通に生活できている」。首相は22日夜、異例のオンライン形式で報道各社のインタビューに応じ、自身の体調を報告。「療養を行いながらリモートで仕事を続ける。閣議にもオンラインで出席する。国政に遅滞が生じないよう全力を尽くす」と強調した。
報道各社の世論調査では、内閣支持率は10日の内閣改造後も下落に歯止めがかかっていない。首相は内閣・自民党の陣容を刷新して局面転換を図ろうとしたが、新たな顔ぶれの中からも旧統一教会との接点が次々に明らかになり、国民の失望を招いたとみられている。
危機感を強める首相は1週間弱の静養を21日で終えた後、公務に全力投球する構えだった。しかし、せきや微熱などの症状が出たため、PCR検査を受けたところ、同日夕に陽性と判明。今月下旬のアフリカ・中東歴訪は見送りとなり、得意と自負する外交の見せ場を失う形となった。
首相によると、公邸と首相官邸の間には自身の感染に備え、光ファイバーによる専用会議システムを整備済み。首相はこれをフル活用して公務を進める意向で、22日も松野博一官房長官や葉梨康弘法相、秋葉剛男国家安全保障局長らと複数回の打ち合わせをこなした。
27日からチュニジアで開かれる第8回アフリカ開発会議(TICAD8)や関連行事にもオンラインで参加する調整を進めている。ただ、オンラインでのやりとりは対面に比べて限界があるのが実情。与党関係者は「首相は感染するタイミングがあまりにも悪い」と頭を抱える。
国民から批判の目が向けられるのは旧統一教会の問題だけではない。故安倍晋三元首相の国葬をめぐっては世論の賛否が割れる。インターネット上では、コロナの感染「第7波」が収まらない中での首相の感染をやゆする声も広がる。
首相は記者団に「国民からの指摘は真摯(しんし)に受け止める」と説明。松野長官は22日の記者会見で「首相は夏休み中も他人と接触する場合は常にマスクを着用するなど、適切な感染対策に努めていた」と釈明した。