鬼怒川水害、国の責任認める 「河川管理に問題」―3900万円賠償命令・水戸地裁
2022年07月22日19時01分
2015年9月の関東・東北豪雨で鬼怒川の堤防が決壊するなどして大規模な水害が発生したのは、河川管理に不備があったためだとして、被災した茨城県常総市の住民ら約30人が国を相手に約3億5870万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、水戸地裁であった。阿部雅彦裁判長は国の責任を一部認め、原告9人に対し計約3900万円を支払うよう国に命じた。
住民側弁護団によると、水害に関する訴訟で国の河川管理の責任が認定されるのは異例という。一方、賠償額などを不服とする勝訴原告と敗訴原告の計25人が控訴する考えを示した。
訴訟では、水害が発生した常総市の2地区について、国の河川管理や堤防の改修計画に問題がなかったかどうかが争われた。
阿部裁判長は、水があふれた若宮戸地区で治水上重要な役割を果たしていた砂丘を、国が掘削などを制限する河川区域に指定するのを怠ったと指摘。その結果、民間事業者による砂丘の掘削を招き、水害につながったと判断した。
その上で、「国が河川区域に指定して砂丘の掘削を防げていれば、浸水被害は相当程度小さくなっていた。河川管理に瑕疵(かし)があったと認められる」と結論付けた。
堤防が決壊した上三坂地区については、住民側は堤防が低かったのに国が改修を後回しにしたと訴えていた。これに対し、阿部裁判長は「他の治水の安全度が低い所から優先的に整備するという鬼怒川の改修計画が格別不合理とは言えない」と述べ、住民側の主張を退けた。
広瀬昌由・国土交通省関東地方整備局長の話 判決内容を慎重に検討し、適切に対処する。