日台同性婚認める カップル勝訴、婚姻届受理命令―台北裁判所
2022年07月21日22時59分
【台北時事】日本と台湾の同性カップルが台湾当局による婚姻届の不受理処分取り消しと受理を求めた訴訟で、台北高等行政法院(裁判所)は21日、不受理処分の取り消しと受理を命じる判決を言い渡した。台湾で初めて日本人を相手とする同性婚が成立する見通しとなった。
勝訴したのは、南部・屏東県在住の有吉英三郎さん(42)と盧盈任さん(34)。2人は昨年5月に婚姻届を提出したが、有吉さんの出身国である日本では同性婚が認められていないことを理由に受理されず、同12月に提訴に踏み切っていた。有吉さんは判決後の会見で「結婚はないと思っていた自分の人生に光が差す思いがした」と喜びを語った。
判決文は「誰と結婚するか」を自分で決めることは台湾の憲法が保障する「重要な基本権」だと説明。有吉さんカップルの状況を踏まえ、日本の法律に基づき結婚を認めないことは不合理な差別的待遇になるなどと判断理由を示した。
台湾は2019年にアジアで初めて同性婚を法制化したが、相手が外国人の場合には同性婚を認めている国の出身者に限定する規定が設けられた。結婚の自由を保障する憲法との整合性などから議論があり、昨年1月には司法当局が同規定を撤廃する関連法改正案をまとめた。
台湾の同性国際結婚をめぐる行政訴訟でカップル側が勝訴するのは4例目。これまで控訴された例はなく、今回も勝訴が確定する可能性が高い。
性的少数者の権利獲得運動に携わり、今回の訴訟を支援してきた明治大の鈴木賢教授は21日、「海外の裁判所で日本の法律が不平等と判断されたと言え、重く受け止めるべきだ」と指摘。判決を受け、日本での同性婚法制化をめぐる議論が加速することに期待を示した。