米国務長官、「対ロ・台湾」で懸念 中国外相とウクライナ侵攻後初会談
2022年07月10日00時23分
【ワシントン、北京時事】ブリンケン米国務長官は9日、滞在先のインドネシア・バリ島で中国の王毅国務委員兼外相と会談し、ウクライナに侵攻したロシアと中国の緊密な関係や台湾情勢をめぐる中国の動きに懸念を示した。米国務省が発表した。
ウクライナ侵攻後初めて行われた米中外相会談は、昼食も交え、5時間を超えた。ブリンケン氏はウクライナ問題に加え、米中間の不測の事態を回避する危機管理手段も取り上げた。中国外務省によれば、両外相は「建設的で誤解を減らすのに資する対話だった」との認識で一致した。
ブリンケン氏はウクライナ情勢に関し、「侵攻を非難するために立ち上がるべき時だ」と述べ、ロシアとの連携を続ける中国をけん制した。王氏は7日、20カ国・地域(G20)外相会合出席のためバリ島を訪れたロシアのラブロフ外相と会談し、対ロ制裁を強める欧米への非難で足並みをそろえていた。
ブリンケン氏はまた、「米中関係は世界にとっても非常に重大だ。われわれは責任ある形で競争を管理していく」と述べ、意思疎通を継続していく姿勢を強調。台湾への軍事的圧力を強める中国の動きにも懸念を示し、「台湾海峡の平和と安定の維持の重要性」を訴えた。
中国外務省によると、王氏は台湾問題をめぐり「米側は言行を慎む必要があり、『台湾独立』勢力にいかなる誤ったシグナルも発してはならない」と警告。バイデン米政権がインフレ抑制に向けて検討する対中制裁関税の見直しを念頭に、「米側はできるだけ早く対中追加関税を取り消し、中国企業に対する制裁を停止すべきだ」と要求した。
米中首脳会談の開催に向けた調整も行ったもようで、中国外務省によれば、両外相は今回の会談で「将来のハイレベル交流」に向けた条件を一層整えたという認識で一致した。対面での米中外相会談は昨年10月にローマで行われて以来。