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【点描・永田町】次の選挙まで生き残る党首は

2022年07月09日18時30分

日本記者クラブ主催の討論会に臨む与野党9党首=6月21日、東京都千代田区[代表撮影]

日本記者クラブ主催の討論会に臨む与野党9党首=6月21日、東京都千代田区[代表撮影]

  • 参院選候補者の応援演説に訪れた岸田文雄首相(自民党総裁)=6月25日、東京・JR吉祥寺駅前

 真夏の政治決戦となる参院選も、いよいよ投開票を迎える。猛暑の列島を汗まみれで駆け巡る各党党首の顔は日焼けし、喉の酷使でしわがれ声が目立つ。選挙戦の真っただ中、異例の首脳外交で5日間も国内を留守にした首相を筆頭に、国政政党9党首の表情には自信と不安が交錯し、それぞれが自らの命運も懸け、絶叫調で「最後のお願い」を繰り返している。

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 大手メディアなどの終盤情勢調査での予測はほとんど「与党圧勝」だけに、首相や公明党の代表が自信と余裕をにじませる一方、野党第1党の座を激しく争う立憲民主党の、日本維新の会の松井一郎両代表は、眉間にしわを寄せてのライバル批判に血道を上げる。中間勢力に位置する共産党の委員長、国民民主党の代表は、それぞれ独自の立場で組織固めなどに注力。れいわ新選組の山本太郎代表と社民党の、NHK党の立花孝志両党首は、自らと国政政党としての生き残りを懸け、インターネットも含めたゲリラ戦を展開する。

 大方の予測通りに与党圧勝なら、岸田政権はいわゆる「黄金の3年」を手に入れ、国政選挙は3年後となる公算が大きい。政権に挑む野党7党首も内心ではそれを前提に、選挙後の党内運営に臨む構えだ。ただ、党首続投には選挙結果や任期が絡み、それぞれの立場は複雑。与党の山口氏は9月の任期満了に伴う退任が確実視され、大阪市長の松井氏も来春の市長選不出馬での政界引退を明言する。泉、志位、玉木、山本、福島、立花の6氏も「選挙結果で続投の可否が決まる」(選挙アナリスト)というのが実態だ。

◇「次の党首討論は全員新人」との声も

 昨秋の衆院選を戦った9党首の中で、選挙後に退任したのは立民の氏のみ。しかし、今回と全く同じ選挙日程だった2016年参院選時の9党首を見ると、現在まで続投しているのは山口、志位両氏だけ。この点も踏まえ、公示前日の6月21日午後に開催された恒例の日本記者クラブ主催の党首討論会では、選挙後の各党首の出処進退が話題となり、それぞれの応答ぶりに会場が沸き、視聴者が耳をそばだてた。

 続投が確定的とされる首相を除き、記者クラブ代表からは各党首に進退を絡めた質問が飛んだ。その中で、松井氏は「(次の代表は)やっぱり吉村(洋文・大阪府知事)さん?」との直撃を、「いやいや、それはわが党の中で議論して決める。僕は自民党にピリッとしてもらうために、最後の戦いで横綱に挑みたい」と、ややうろたえ気味にかわした。退任時の後継者を問われた山口氏は「決めるのは私ではない」と苦笑い。20年以上も党首を続ける志位氏は「野党共闘は途上にある」と、あえて進退への言及を避けた。

 一方、大激戦の東京選挙区で戦う山本氏は、衆院議員を約半年で辞職して参院選に出馬したことを詰問されると、「参院選に受かったら任期通り、やらせていただきます」と再くら替えを明確に否定した。比例得票率2%未満なら政党要件を失う福島氏は「憲法改正を阻止するためにも(国会に)いなくてはならない」と哀願調。しかし、同じ立場の立花氏は「今回は2人、3人(の当選)まで自信がある」と、得意のユーチューブ作戦への自信と手応えをアピールした。

 ただ、次期国政選挙が3年後となれば「首相も含め、それまで続投確実と言い切れる党首は見当たらない」(自民長老)のが実態だ。このため、ベテランぞろいの記者席からは「次の党首討論会は全員、新人になるかも」との物騒なささやきも漏れた。【政治ジャーナリスト・泉 宏】

時事通信社「地方行政」7月4日号より。

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