岸田首相、NPT会議出席で調整 歴代初、「核なき世界」訴え
2022年06月19日07時08分
岸田文雄首相は、米ニューヨークの国連本部で8月に開かれる核拡散防止条約(NPT)再検討会議に出席する方向で調整に入った。ロシアによるウクライナ侵攻で核兵器使用への懸念が強まる中、唯一の戦争被爆国として「核兵器のない世界」実現を訴える。出席すれば日本の首相で初となる。複数の政府関係者が18日、明らかにした。
核兵器廃絶へ実効性は? 禁止条約、締約国が初会合へ―ニュースQ&A
首相は15日の記者会見で、「NPT再検討会議は核兵器国と非核兵器国の双方が参加する国際的な核軍縮・不拡散体制の礎石だ」と指摘。「意義ある成果が収められるよう全力で取り組みたい」と、出席に意欲を示した。
首相は被爆地の広島選出で、「核なき世界」実現をライフワークとする。議長国を来年務める先進7カ国首脳会議(G7サミット)の広島開催を決めた。
NPT再検討会議は5年に1度開かれ、首相は前回2015年の会議に外相として出席。通常は閣僚級が出席するが、ウクライナ情勢や北朝鮮の核開発を受け、首相自ら主導的な役割を果たしたい考えだ。
会議は8月1日から26日まで開かれ、首相は会議冒頭に演説する日程を検討している。当初、20年に予定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大で4度にわたり延期された。首相は1月に予定されていた際にも出席を検討し、バイデン大統領との会談を模索した。今回の訪米でも首脳会談の可能性を探る構えだ。
一方、政府は、オーストリアのウィーンで21日から開催される核兵器禁止条約第1回締約国会議へのオブザーバー参加は見送る。日本が依存する米国の「核の傘」の否定につながりかねないためで、首相は「現実的な核軍縮・不拡散の取り組みから始めるべきだ」と主張している。