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止まらぬ円安、口先介入効かず 対ドル、金融危機時の水準に―黒田日銀総裁「動向注視」

2022年06月14日07時04分

参院決算委員会で答弁する日銀の黒田東彦総裁=13日午後、国会内

参院決算委員会で答弁する日銀の黒田東彦総裁=13日午後、国会内

 外国為替市場で円安の勢いが止まらない。13日には対ドル相場が一時1ドル=135円台前半と、バブル崩壊後の金融危機が深刻化し市場が「日本売り」の様相を呈していた1998年以来の水準にまで急落した。政府・日銀は口先介入を強めるが効果は限定的で、円安阻止へ有効策を見いだせずにいる。

円急落、24年ぶり135円台前半 株・債券とトリプル安―東京市場

 「政府と緊密に連携しつつ為替市場動向を注視したい」。日銀の黒田東彦総裁は13日の参院決算委員会で、急速な円安を強くけん制した。鈴木俊一財務相も「今は賃金上昇の力が弱い。(円安の)マイナス面が出ている」と呼応した。
 政府・日銀は円安に対するけん制のトーンを一気に上げ始めている。10日には財務省と金融庁、日銀が会合を開き、異例とも言える「急速な円安の進行が見られ、憂慮している」との声明文を発表。その上で「必要な場合には適切な対応を取る」との方針も示し、円安阻止へ円買い・ドル売り介入も辞さない構えを見せた。
 だが、市場は政府・日銀の限界を見透かしている。米連邦準備制度理事会(FRB)は歴史的なインフレ抑制のため利上げペースを加速させるとの見方が浮上しており、日銀が大規模緩和を続ける日本との金利差は一段と拡大する見通し。金利の低い円が売られやすい状況は今後も続く公算が大きい。
 円安阻止の為替介入をめぐっても、米財務省は10日に公表した半期為替報告書で「極めて例外的な場合に限られるべきだ」とくぎを刺した。政府・日銀は介入を事実上封じられた格好で、10日の参院決算委で介入の可能性をただされた鈴木財務相も「コメントを控えたい」と述べるにとどめた。
 ただ、3カ月で20円近くも進んだ急速な円安は輸入物価の上昇を通じ、家計を圧迫し始めている。日銀は16、17日の金融政策決定会合で景気下支えのために大規模緩和を維持する見通しだが、止まらない円安を前に一段と難しい判断を迫られそうだ。

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