出井伸之氏死去、84歳 ソニー元社長、IT化推進

2022年06月07日18時11分

ソニー元社長の出井伸之氏

ソニー元社長の出井伸之氏

 ソニー(現ソニーグループ)の社長や会長を歴任した出井伸之(いでい・のぶゆき)氏が2日、東京都内の病院で死去した。ソニーグループが7日発表した。84歳だった。東京都出身。葬儀は近親者で済ませた。後日「しのぶ会」を開く。2000年から05年まで会長兼最高経営責任者(CEO)を務め、経営の多角化を進めた。

ネット社会の到来予見 ソフト技術で出遅れ―ソニー出井氏

 早大政経卒。1960年にソニーに入社し、95年社長就任。社長在任中、音響・映像(AV)機器とITの融合を目指して「デジタル・ドリーム・キッズ」をスローガンに掲げ、96年に家庭用パソコン「VAIO(バイオ)」を発売。映画、音楽事業を拡大させたほか、インターネット銀行に参入するなど金融事業にも注力した。
 しかし、競争激化により薄型テレビなどは不振が続き、主力の電機事業は低迷。05年に業績不振の責任を取る形で退任した。出井氏が手掛けたパソコン事業も14年に売却された。
 経営の監督と執行の分離を目的とした執行役員制の導入や、委員会等設置会社への移行など企業統治体制の確立にも尽力した。
 欧州駐在が長い国際派として知られ、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)の社外取締役を務めたほか、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)にも出席した。
 一方、早くからインターネットの重要性に着目。00年には政府のIT戦略会議議長に就任し、ブロードバンド構想を推し進めた。ソニー退任後は企業変革を支援するクオンタムリープ(東京)を設立し、ベンチャー企業の育成も手掛けた。

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