ヒ素ミルクで森永乳業提訴 慰謝料求め、脳性まひの女性―大阪地裁
2022年05月25日16時31分
1955年に森永乳業の粉ミルクにヒ素が混入し、乳児らに健康被害が出た「森永ヒ素ミルク事件」で、脳性まひになった大阪市内の女性(68)が25日、現行の救済は不十分だとして、同社に慰謝料など約5500万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。
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訴状などによると、女性は乳幼児期に同社の粉ミルクを飲んで脳性まひを発症。首や手足に痛みやしびれがあり、40歳で頸椎(けいつい)症性脊髄症と診断を受けた。現在も症状が悪化しているという。
1974年に救済団体が設立され、女性も月約7万円の手当を受給しているが、原告側は訴状で、「救済には全く足りず、(同社から)慰謝料は一切受け取っていない」と主張している。
女性は提訴後に大阪市内で記者会見し、「(同社は)ここまでの障害を負わせたのに補償が全くなっていない」と訴えた。女性の代理人弁護士は「未曽有の食品公害事件を起こした森永乳業に対する慰謝料請求だ。約50年前の救済内容を変える一石を投じたい」と話した。
森永乳業の話 現時点で訴状を受け取っていないので、コメントは差し控える。