インド、自衛隊機受け入れず ウクライナ支援、派遣ずれ込み
2022年04月22日07時08分
ウクライナ向けの人道救援物資を自衛隊機で周辺国に空輸する計画をめぐり、経由地のインドが物資積み込みのための自衛隊機の寄航を拒否したことが21日、分かった。政府は今週末にも出発させたい考えだったが、経由地を見直す必要があるため、派遣は週明け以降にずれ込む見通しだ。
政府・与党内ではインドがかねて関係の深いロシアに配慮したとの見方が出ている。岸田文雄首相は日印に米国、オーストラリアを加えた4カ国(クアッド)の首脳会議を5月下旬にも東京都内で開き、ウクライナ情勢を協議したい考えだが、連携の難しさが浮き彫りとなった。
計画は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の要請に基づくもので、自衛隊のC2輸送機などが備蓄倉庫のあるインドのムンバイとアラブ首長国連邦のドバイで毛布などを積載し、ポーランドとルーマニアに輸送する予定だった。22日に閣議決定した上で、今週末から6月末まで週1便のペースで10回程度運ぶことが想定されていた。
自民党は21日の政調審議会で、予定していた計画の事前審査を先送りした。席上、外務省の担当者は「インドから口頭で了解を得ていたが、20日夜に覆された」と説明。高市早苗政調会長は「大変残念だ。明らかに政府の根回し不足だ」と政府の対応を批判した。
松野博一官房長官は21日の記者会見で「さまざまな支援の可能性を検討していく。現時点で具体的に決まったことはない」と述べるにとどめた。政府関係者は「インドとしてはウクライナを支援する軍用機は通さないということだろう」と語った。